ピンクフロイド知らない

気になった音楽、PVの話

4s4ki『超破滅的思考』

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音楽も映像も現代的で良い作品だなと思います。 名前はアサキと読みます。

このアサキさんですが、作詞作曲編曲全て1人でされてるそうです。 歌だけでなくて、トラックも含めて全部1人で作ってるってことですよ、凄ない。 21歳よこの方。

まあしかしですね、DTM等が発達してきまして「音楽を作る」っていうことに対するハードルはかなり下がってきたのかなと思います。
スマホが発達しすぎてPCを持ってる人が減ってきたという問題はありますが)

今の時代、割と誰でも曲は作れますし、これからどんどんアサキさんみたいな多才な方が出てくるんだろうなと感じますなあ。
電子音楽と言われる類の音楽もすっかり浸透しましたし、正直「バンドである必要性」みたいなのも今後問われてくるのかもしれませんねえ。
と言いながらも、僕が生きている間は「ロックと言えばバンドだろ」という空気はなくならないと思いますけど。

でも、これからはいろんな形の音楽が発信されて欲しいなと期待しとるわけです。

CAT ATE HOTDOGS『Drops』

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ひゅー!かっけー!
曲もメロディーも声もギターサウンドも全部かっこいいわ。マジで。

声はもしかしたら好みが分かれるかもしれんけど、私は男声も女声もハスキーなのが好みなのでどストライクですなあ。

このバンドですが、十代白書という閃光ライオットの関西版みたいなオーディションの2019グランプリみたいです。

10代ってこと!?このバンドが!?
凄すぎやろ...どんだけ上手いねん...

頼むからさっさと売れてくれ少年。

Pale Waves『Television Romance』

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そのビジュアルで、こんな透明感のある曲やるんかよ。
音の選び方ひとつひとつがツボ過ぎて聞いてて苦しいわ。

ただね、これ2017年の曲なんですよ。
バンド自体は若いバンドなんですけど、アルバムも去年の夏に出したもので別に最新の曲というわけでもないんですね。
私のブログで紹介した曲では多分一番古い曲になるわけですが、今回紹介したいのは僕がどうやってこの曲と出会ったか、という話です。

Pale Wavesとの出会い

私はもともと洋楽に疎くて、最近も頑張って聞いてますがどうやったら有望なインディーズバンドに出会えるのかよくわかってないんですね。AudioTree見るぐらいです。

そんな中で今回PaleWavesに出会ったのは映画のサントラです。
しかも見てない映画の。

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この『チワワちゃん』っていう映画の予告編を見た後に、最後の走ってる時に流れている曲がどうしても聞きたくてサントラを検索しました。
この曲は「Heart Beats」という曲で死ぬほどかっこいいんですが、サントラ自体がとても気に入りまして1週間ぐらい普通に聞いてました。サントラなので35曲程入ってるんですが、Heart Beatsの次に僕に刺さったのが先のPale Wavesの『Television Romance』だったんです!!

このサントラどうなってんねん!センス良すぎやろ!!

映画館での上映はとっくに終わってしまったので、チワワちゃんがレンタルに出たら必ず見ようと思っています。予告編見る限りおもしろそうやしね。

皆さんも、暇な時にサントラ漁りしてみて下さい。お宝に出会えるかもしれません。

EOW『yumenara』

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最近のモーニングナンバーです。
とてつもなく爽やかオシャレでしょ。

そもそも、このMVめちゃくちゃ完成度高いと思うんやけどお金かかってんのかな。MV撮影でどれぐらいかかるとか全くわからないんやけど、どうなんやろ。詳しい人教えて下さい。

曲に関してはブラックミュージックベースで完全にやってる人の音楽ですね。(ニッコリ
確かな音楽性と技術力しか感じませんわ。結成は2017年の夏みたいですが、多分メンバー個々人はそれなりにやってきた方々なんでしょうね。
ミニアルバムも出てまして、他の曲もイカしてるので聞いて下さい。
この曲が気に入った人はアルバムも必ず気に入ります。

この曲聞いて、ノリノリで梅雨を乗り切りましょう。

いつかのネモフィラ『その風を知って』

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このボーカルの声、まじで反則やろ... サビ前の「ふわり」っていうところ、声がちょっとガナる瞬間にもう拍手したいわ。

私は以前からあまり「シティーポップ」と言われるジャンルがあまり好きではないんですけども、その理由のひとつに「声にエフェクトをかけて声の特徴が死んでることが多い」というのがあります。

誰がなんと言おうと、バンドの顔はボーカルですし、
バンドのアイデンティティーの半分はボーカルの声だと思っています。
BankBandで桜井さんが歌ったら全部ミスチルに聞こえるように、ボーカルの声はバンドのイメージであり、声に特徴が有るか無いかは上手い下手と同じぐらい重要、というのが私の持論です。

この曲はストレートなエモなので、特に声の強さや透明感を含めたボーカルのキャラが溢れ出ているというか、もう「この声がもっと聞きたい!」となってしまっている自分がいます。
バンドのキャラと声のキャラが合ってるのも良いですね。

ライブでこの声聞いたら、動かれへんようになるやろなあ... 

なぜ音楽は「ほぼ無料」になったのか

先日こういう記事を書かせていただきました。

tadokoro.hateblo.jp

予想以上に反響がありまして、たくさんの方に読んでいただきました。
本当にありがとうございます。

このブログをの反応を見させていただくと、「でも、やっぱり音楽を無料で聞くっていうのは納得できない」「結局お前はMusicFMについてどう考えているの?」という方がいらっしゃいました。
当然の反応だと思います。

先の記事でも

まず始めにこれだけは言いたいですが、既に「楽曲」はフリーミアムで言うところの「無料部分」にほぼなっています。

の1文でまとめてしまっており、なぜ「無料部分」になったのかには触れませんでした。
そこで今回は「音楽の値段が下がった理由」と「MusicFM等で音楽を無料で聞くこと」に対する私なりの考えを書いていきたいと思います。

なぜ音楽の値段は下がったのか

それは音楽が「データ」だからだと考えています。
データは全く同じものがコピーできますし、どこかに送ることもできます。

コピーできるからCDにも焼けるし、簡単にアップロードもできます。

まだ、家庭にパソコンが無い時代はコピーができないのでCDが売れました。
でも、徐々にパソコンやスマホが浸透し、誰でも簡単にデータを取り込んでコピーできるようになりました。
同じものをコストゼロで、かつ無限に複製できるもの」の値段が下がっていくのは当然のことです。

音楽の値段が下がったのはクリエーターが悪いわけでもなく、勿論リスナーが悪いわけでもありません。
ただ「テクノロジーが進歩して、社会がそうなった」というだけのことで、悲しむべきことでも無いと思っています。

ただひとつ言えるのは、この社会の変化が「皆が予想するよりはるかに速く、そして劇的に起きた」ということです。

大学の話

私の話を例にします。

私が大学に入った時、軽音サークルの同級生のほぼ全員がガラケーを持っていました。
記憶する限り、スマホをその時点で持っていたのは50人余りの同級生の中で2人か3人。
コピーする曲はCDに焼いてみんなに配り、家で聞いて練習しました。

私が大学を卒業する時、サークルの同級生は1人残らず全員がスマホを持っていました
練習する曲はDropBoxに上げてみんなで共有していましたし、私が作曲した曲はSoundCloudに上げて聞いてもらいLINEでフィードバックしてもらっていました。
「自分の好きなバンドを布教したいから」と、アルバムをまるまるクラウドストレージに上げて友達に公開している人もいたのを覚えています。

5年足らずでこれだけ環境が変わったんです。

そして、この例で言うところのDropBoxは「広告をつけているか、いないか」の違いはあれどやっていることはほぼMusicFMと同じです。
データをメディアに焼いている頃は「音質」という面で本家のCDに分がありましたが、データ自体をやり取りし始めたこの時点で既に「知り合いの誰かが持っているCD」を買う必要性は、ほぼほぼゼロでした

テクノロジーの進歩によって音楽をコピーできるだけでなく、シェアも簡単に広範囲にできるようになったのです。

こういったことは音楽だけでなく、「データ」であれば何にでも起こりうることです。
現に動画もほぼサブスクリプションに移行し、お金を払って動画単体をレンタルしたり買う人はかなり減ったと思います。
MusicFM等の悪徳業者は、このテクノロジーの進歩の過程で「不正に金儲けしてやろう」と出現しただけに過ぎず、業者の存在に関係なく遅かれ早かれコピーしてシェアできるデータの値段は必ず下がることになります

次にもう少し「無料で音楽を聞く」こと、MusicFM等のアプリに対しての考えを詳しく書きたいと思います。

そもそも「無料で音楽を聞く」は昔からあった。

もう少し昔の話をします。

私は今20代後半ですが、小学校の頃は借りてきたCDをカセットテープにダビングして聞いていました。
中学あたりでMDが流行り(今の子はMD知らないんだろうな...)、MDに焼いて友達同士で貸しあって聞いたり、はたまたクラスで「自分のお気に入りアルバム」を作って回すようなこともしていました。

アジカンの「ソルファ」のダビングCDを持っているA君に、貸してもらう順番待ちが発生しA君が一時権力者のようになっていたのを覚えています。
多分、私と同年代ぐらいの方なら大多数の人が通った道だと思います。

これと、今ネットで無料で音楽が聞けるのと何が違うんですか??

僕には「MDを貸す相手が昔はあなたの教室の誰かだったのが、インターネットの普及にによって世界中の誰かに変わっただけ」にしか見えません。
皆さんが昔からやってきた「音楽の貸し借り」は本質的にはMusicFMと同じですし、友達にCDを焼いてもらう時に「アーティストの利益を奪ってしまった...」などと考えていたでしょうか。
ただ「友達が持っているから焼いてもらえばいい」、それだけだったはずです。

法律的にアウトだろカス

確かにそうです。MusicFMは他人の著作権で利益を得ようとしているので、サイト運営者は取り締まられるべきだと思います。

ですが、リスナー側の行動、動機はCDやMDを焼いてもらう時と全く同じですよね?
リスナー側からすれば「AppStoreにあるアプリを使ってるだけでそれが違法かどうかなんて知らないし、どうでもいい」これが全てです。

私はMusicFMについて詳しくありませんが、調べたところ少なくともユーザーから逮捕者は出ていないと認識していますし、これだけの利用者がいて逮捕できないということは実質的に法的拘束力は無いに等しいというのが現状だと思います。

僕が言いたいのは「無料で音楽を聞けるサイトを潰そうと活動するのは良いこと。だけど本質的には昔も今もやっていることは変わっていない。自分がMusicFMを使っていないというのを振りかざして利用者を、現代の若者を叩くのはやめて欲しい」ということです。
あなたがその音源にお金を払わずに聞くための手段が、カセットテープ、MD、ダビングしたCD、DropBox上のMP3ファイル、MusicFMとテクノロジーの進歩に伴って変遷しているだけです。
進歩に伴ってシェアできる範囲が広がり、それに従いデータの価値も下がりました。

そして、ここで1つ質問をさせてください。

MusicFMを使うなと言っている男性は、日頃見ているであろうアダルトビデオにも勿論毎回お金を払っているんですよね?

XVIDEOSやPornHubも使わないし、毎回動画を借りるか買っているんですよね?
もし本当にそうなら、ここでこの記事を読むのをやめてください。
あなたのような聖人に言うことはありません。日本のために活躍していただければと思います。
(女性の方は引き続き半笑いでご覧下さい)

毎日タダでエロ動画を見ている方はもう少し話をしましょう。

我々は「"たまたま" XVIDEOSはあるが、音楽は買う時代」に育ったからXVIDEOSは平気で使うが「音楽を無料で聞く」ことには違和感を覚える人間に育っただけで、もしあなたが「XVIDEOSもMusicFMも漫画村もある時代」に育っていたら、全て悪意なく使っていたはずです。そして、それが現代の若者です。

私は「XVIDEOSで毎晩お楽しみであること」を責めたいわけではないのです。
「便利なものがあるから使っているだけで、作り手の苦労とか利益とか言われても知ったことではない。」というリスナーの気持ちはなんとなく理解できますよね?と言いたいのです。

そして「自分が当事者になった時だけ権利を主張する」のは、少し虫が良すぎるのでは、と。

今MusicFMを潰そうという活動があるようです。
こういった問題に対して「サイトを潰せ」「ユーザーは金を出せ」と喧伝することは正しいことですし正義感あふれる行動だと思います。

ただ、MusicFMを取り締まることがいかに難しいかは性質が同じXVIDEOSが長年存続していることが表していますし、男性諸君が今日も無料でアダルトビデオを見るようにMusicFMユーザーも使うのをやめることは無いでしょう。
たとえ、漫画村のようにサイトを消せたとしても、漫画ビレッジが出現したように、類似サイトが出てきてイタチごっこになるのが落ちです。

上記のような状況を考えると、違法サイトを弾圧することが音楽業界を良くするための根本的対策だとは思えません
本当にやるべきことは「音楽の値段が下がるのは時代の潮流であるという現実を認め、新しい時代でも利益を生み出せる活動方法をバンド、ライブハウスが模索すること」ではないのでしょうか。

以上が、「音楽の値段が下がった理由」「MusicFM等で音楽を聞くこと」に対する私の考えです。

そして最後に、もう一度ライブについて触れさせてください。

そしてライブへ

テクノロジーが進歩し社会が変化したことで音楽の値段、厳密には「音源の値段」は下がりました。
ですが一方で、社会が変化しても価値のあるものがあります。それがライブです。

もしかしたら、前の記事を読んでくださった方の中には、私を「ライブを軽視している人間」だと思った方がいらっしゃるかもしれません。
まったくもって逆です。ライブにこそとてつもない価値があると思っています。

なぜなら「ライブを見たという体験」「でかいスピーカーの前に立って内臓を揺さぶられたという体験」は決してコピーできないからです!!!
皆さんが作った曲も「データとして売るための価値」がなくなっただけで制作活動自体に意味がなくなったわけではないですし、ライブにもグッズにも価値は詰まっています!

今一度言っておきますが、私はライブハウスで見るライブが大好きです
CHONの初来日ツアーにも行きましたし、ハヌマーンがもしまたライブをするならチケット代2万でも駆けつける準備はありますし、LOSTAGEのライブの帰りは毎回喉がかれています。

ライブハウスを知らない人にも是非、生のライブを体験して欲しい。

だけど、今のライブはいささか時代に逆行している。
テレビの前から視聴者がいなくなったように「その時その場所にいなければならない」というのは敬遠されがちです。
今のユーザーは「見たい時に見、やりたい時にやる」のです。

映画や舞台のように「何公演かあって、自分の都合の合う日時を選ぶ」スタイルであればまだいいのですが、ライブハウスは本当にピンポイント。
それがいいんじゃないか!」と言いたいのは私もなのですが、とにかく時代の流れとは合っていないのです。

ならば、配信ライブを定期的に行い、お客さんの都合が合うタイミングで見てもらう方が良いと考えました。
配信ライブは配信機材さえ購入すればスタジオ代だけで済むので、頻繁に行えるからです。単純に回数が多いほど見てもらえる確率も上がりますし、お客さんも場所や天候を気にする必要が無くなります。

上にも書きましたが今の時代だからこそライブに価値があります
だから1人でも多くの人をライブの世界に引き込んでほしい。
そのためには雰囲気だけでも味わってもらって、ライブに行きたいと思わせて欲しいんです

そのために、前の記事を書きました。

「ライブハウスは不要」だとか「ライブは配信で十分」などとは、1ミリも思っていません
ライブシーンに新規顧客を引き込むための動線、選択肢を増やしませんか」ということを伝えたいのです。

私はもうバンドを辞めて久しいので、バンドマンやライブハウス関係者にいくら嫌われようがノーダメージの、いわゆる無敵の人

皆さんがTwitter上なり打ち上げの席なりで、僕の悪口がてら少しでも「今後のバンドのあり方」について議論するきっかけになれば僕も嬉しいですし、「嫌われ甲斐がある」というものです。

以上になります。
こんな長文を最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

音楽を無料にしてはいけない、と叫ぶ人へ

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ちょっとこれ見てくれ。

ライブハウス京都GROWLYの店長恭平さんが出してはる動画で、「Music FM」という音楽を無料で聞けてしまうアプリを取り上げて音楽に金を払ってくれ、という内容の動画です。
(先にこれだけは書いておきますが、Music FM自体は僕も無くなるべきものだと思っています。ただ、音楽が定額・無料で聞けることは必ずしも悪ではない、と思っているので感じたことを書いていきます。)

動画の内容的には

  • 今の若者は「基本無料」のものが身近にあるため、無料で音楽を聞くことに抵抗がない
  • その延長で「無料のモノになぜ金を払わなければならないのか」という考えが蔓延している
  • 「音」だけを聞いて楽しんでいるので、その裏で人が動いているということが想像できていない
  • だから、ライブに一度来てほしい!

いやー衝撃を受けました。
考え方太古か、と。
ただ、こういう考えで今音楽やっている人ってメチャクチャ多いと思うんですよ。
「俺たちが心血注いだ作品に金払えよ」みたいな考えの人。
めっちゃわかるんですよ気持ちは、僕もバンドやってたんで。

ツッコミたいところ

まずですね、 動画の中で「スマホのゲームとかアプリも今は無料でできるから、音楽も無料で聞くことが普通になっちゃってる」みたいな文脈の部分ありますよね?

じゃあなんで音楽は儲からないのにスマホゲームはそれで儲かるのか?
っていう話なんですよ。
これは言わずもがな、課金システムがあるからですよね。
※小さいアプリだと課金ではなく広告を表示して広告料で稼ぐタイプのもあります。

2018年に世界で一番売上を上げたゲームはFortniteというゲームですが、これもプレイは無料です。
課金システムも課金すれば強くなるとかではなく、キャラクターや武器の見た目を変える「スキン」と言われるアイテムを買うためにあります。非課金でもゲーム自体は他のプレイヤーと全く同じように遊べます。
それで、年間売上880億ドル(9兆6000億円)です。

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何が言いたいかというと「今の若者は無料に慣れているから金を出さない」というのは大間違いです

この「基本無料でアプリ内で課金するシステム」のことを「フリーミアム」といいますが、今開発されているアプリやサービスはほとんどがこの「フリーミアム」という形式を取ってます。

なぜ、フリーミアムが流行ったか。
儲かるからです。

フリーミアムはなぜ儲かるのか

僕が「課金」と聞いて一番最初に思い浮かべるのは「パズドラ」です。
もし、パズドラがシステムは全く同じ、ただし無料でなく「1000円」だったとしたら、今よりその1000円分売上があがっていたでしょうか。
勿論答えはNoです。

何故か。
「1000円かかるんだったらやらないわ」という人が出るから、すなわちユーザーの数が全く変わるからです。

ユーザーの数、という力

第1に人は周りの人がやっていることを自分がやっていないと不安になる、ということがあります。

Twitterinstagram、ツムツム、どうぶつの森ポケモンGO遊戯王デュエルリンクス、荒野行動...
友達みんなやってるし、やってみよ」と思って始めたアプリが1つぐらいありませんか?
特に今の世代はSNSによってつながりが強いため「周りの友達が何をやっているか」がほぼリアルタイムで共有されています。

結果的に、「基本無料」にしてユーザーを増やせば、それにつられて周りも始める。
更にその周りのユーザーも...という具合に雪だるま式に増えるわけですね。
勿論、広告等の他の戦略も重要ですが。

そして、第2にフリーミアムの課金率というのがあります。
このフリーミアム形式のユーザーのうち、課金しているユーザーはだいたい全体の2~5%だと言われています。
言い換えれば、ユーザーの95%は一切金になっていない、ということです。

従来の経済学の一般論ではパレートの法則と言って「2割のお得意様が売上の8割を支える」というのが定説ですが、フリーミアムでは偏った構造になっています。

そのため、分母が少ないと課金規模が小さすぎて成功しないため、とにかくユーザー数を増やすことが重要になってくるのです。
そのためには、使ってもらうためのハードルを極力下げる。
そして、100人中5人が課金してくれれば成功というわけ。

フリーミアム
とにかく試食させまくって、気に入った人がいっぱい買ってくれれば元が取れる」仕組みなわけです。

じゃあなぜバンドは儲からないのか

やっと帰ってきました。

まず始めにこれだけは言いたいですが、既に「楽曲」はフリーミアムで言うところの「無料部分」にほぼなっています。
じゃあ「課金部分」は何か。ライブとグッズですよね。

YouTubeやAppleMusic等の定額サービスで音楽を聞いて、気に入ったアーティストがいればライブに足を運んで金を落とす。
一見、フリーミアムのゲームと同じ形式になっているように見えますよね?

全く違います。

何が違うのか。

それは課金するハードルです。
今のバンド、特にインディーズバンドの場合ライブに来てもらわないとほとんどのお客さんがお金に繋がりませんよね?

アプリで課金する時は画面上で数タップするだけで課金できるのに比べると「ライブに行く」というのはかなりハードルが上がります。

「交通費がかかる」「予定を空けなきゃいけない」「遠いから行くのにも時間がかかる」
相当好きな人でないとライブは行きません

「AKBを聞いてる人」と「AKBのライブにも行く人」は後者の方が熱心なファンですよね?
「千鳥の漫才が好きな人」の中に「千鳥のライブに行く人」がどれだけいますか。
恭平さんの動画では最後に「まずはライブに足を運んでください!」と言ってますが完全に順番が逆です。YoutubeでいくらでもLive映像が出てくるこのご時世に「まずライブに行く」人なんてなかなかいません。

儲からない理由はまだあります。

先に説明したパズドラなどのゲームの場合、一部のユーザーが数百万単位で課金する場合があります。
この大口顧客の存在によって、他の数千人が課金していなくても黒字になるわけです。

でも、バンドの場合CD、Tシャツ、チケット代を出してくれれば
もの凄い上客だと思いますが1万いかないぐらい。
「今月の全ライブに来てくれた」としても、チケット売上は3万にもならないと思います。

客単価が低いんですよね。
「課金効率が悪い上に客単価が低い」

更にまだあります。

上で「相当好きな人でないとライブには行かない」と書きました。
これは「曲を聞いて良いなと思った人」を「ライブに行きたい」と思わせる必要があるわけですが、その「更に後押ししてくれるコンテンツが少なすぎる」というのも問題です。

マーケティングでは商品を買ったことがある、知っている顧客を一般顧客、リピートしてくれている顧客のことを優良顧客と呼んだりします。
「知らない人に知ってもらう」のと同じぐらいこの一般顧客をいかに優良顧客に昇格させるかが重要なわけですが、ほとんどのバンドの場合、ライブに行くまでは「曲を聞いてもらう」以外のアプローチがほぼ無い状態。

それではいつまでたっても「曲が良いなと思った人」は「ライブに行きたい人」になってくれません。

僕はバンドマンの人に聞きたいわけですが、ここ1年で純粋にネットで音源を聞いて感動してライブに行ったお気に入りのバンドがいますか?

じゃあどうすんねんカス

僕も自分なりにサラリーマンパワーを結集して考えました。

1. ライブハウスを全ての中心にするのを辞めろ

正直言いたいことのほとんどはこれです。
そもそも論として問いたいのは
なんのためにライブをしているのか」です。

自主企画やワンマンライブは置いておいて、 「なぜ毎月継続的にライブしているのか」ということ。

恐らくほとんどのバンドの答えは 「自分たちをより多くの人に知ってもらうため」、もっと言うと「ファンを増やすため」だと思います。

1人でも多くの人に自分たちの曲を聞いてもらって、気に入ってくれた人はCDを買って次のライブにも来て欲しい。当然ですよね。

でも、ここで考えていただきたいのですが「自分たちのバンド、曲を1人でも多くの人に知ってもらう」 という目的に対して、本当に「ライブハウスでライブをする」のが最善でしょうか?

僕はほとんどのバンドは配信ライブをすべきだと思っています。
それもライブハウスでのライブを配信する必要はなく、スタジオで演奏している様子をライブとしてYoutube Liveやらで配信すればいい。

そもそもライブというのはバンド側にとっても非常に負担が大きい。 特に毎回ノルマを課せられているバンドは借金を背負わされているようなもんです。

それで来たお客さんが3人とかザラですよね。
「何のためにライブやってるんだろう」って思ったことありませんか?
「ライブをします」って言って客が来ないってことは需要がないってことなんですよ。だったら需要を作る活動をしないといけないのに、ひたすら金払ってライブするのは本当に無駄な行動です。

寿司屋の修行と一緒で、バンドも「下積みをして花開くべきだ」みたいな古臭い空気が未だにありますが、「みなさんはもっとラクするべきだし、もっと正当に評価されるべき」だと思っておるわけです。

配信ライブをしてくれ!!

配信ライブをすると、お客さん側も好きな場所、タイミングで見られるし、バンド側もスタジオ代だけでいいわけですから負担が大きく軽減されてwin-winです。

でもそれだといつまでたっても売上にならねえじゃねえか」と思った方がいらっしゃるかもしれません。 現代の配信サイトのほとんどには「投げ銭」と言われるシステムがあり、視聴者が感動した時や良いなと思った時にお金を投げることができます。だいたいが100円ぐらいから投げられます。

CDも買わないのに、ただ金を投げるだけのやつがいるわけねえだろチンカスwww」私も最初はそう思っていました。

視聴者が投げ銭をする大きな要因は、配信者に自分を認知してもらえることです
投げ銭をすると「Aさんが100円投げました」とデカデカと表示されるため、だいたい配信者が「Aさんありがとー!」とお礼を言います。
これによって、Aさんは配信者に自分を認知してもらったという感覚を得ます。
これは「他の銭を投げていない視聴者と違って私は認められている」という優越感です。

更に、投げ銭の金額が多いほど長時間画面に表示される仕組みになっているため、例えば1万円投げれば相当な時間あなたの名前が配信画面に表示され続けます。コメント欄でも「1万円凄えw」などと褒められまくって優越感の海に浮かべるわけです。

そもそも、ゲームでは「数百万、数千万円単位で課金する大口顧客」というのが存在しますが、これはなぜかというと「ユーザー同士を競わせるから」だと思います。 ユーザー同士の状況が見えることによって「人より高いランクになりたい」「みんなが持っていないレアアイテムが欲しい」という欲求が生まれ、それを達成した時にとてつもない優越感を感じるわけです。その優越感にお金を払っているんですよ。
いきなりステーキの「肉マイレージ」とかも同じ原理ですよね。

少し話はそれましたが、配信ライブをして良いライブができればチケット代2500円のライブを見に行くのは億劫だけど300円なら投げよう、と思ってくれる人が必ずいるはずです。
そういう活動を重ねることで、「曲を聞いて良いなと思った人」を少しずつライブ会場に近づけるわけです。
そして「ライブにある程度の人が来てくれそうだな」と手応えを感じた時点でライブをやればいいじゃないですか。年に20本も30本もやる必要無いと思うんですよね。

でも配信は自分達のフォロワーばっかりが見ることになるから一向に客層が広がらないよね?」と思った人もいるかもしれません。
答えは簡単で「対バン形式での配信」をやればいいだけのことです。
バンド同士で声を掛け合って、順番に演奏する様子を各バンドが一斉に配信すればいいですよね。そうすれば、対バンのフォロワーにも自分達の音楽を聞いてもらえるきっかけになります。
これもスタジオでやればいいので、浮いたお金で打ち上げでも行ってください。

2.ライブにプレミア感を出す

これも上の優越感の話に似ていますが、折角ライブに来てくれたお客さんは離さないようにもっと優遇すべきだと思っています。
たまに「ポイントカード」みたいなのを導入しているバンドを見ますが、これは非常に良い取り組みだなと思います。

ただ、ポイントカードを作るなら「遠くから遠征してきた人にはより多くのポイントをあげる」べきだと思いますし、ポイントを貯めて交換できるのがTシャツとかのグッズだと僕は「んー」ってなっちゃいます。

モノが欲しくてライブに行ってるわけではなくて(それも目的のひとつかもしれませんが)、「皆さんのことが好きだから」ライブに行くわけですよね。だったら、景品も皆さんにした方が良いと思うんですよね

別にやらしい意味じゃないですよ。

例えば僕だったら「5回ライブに行ったら、好きな1曲のベースを本人に30分レッスンしてもらえる」とかだとめっちゃライブ行きますね。
バンドをやっていない人だとどういうのが良いか具体的にはわかりませんが、きっと同じような願望があると思います。

なんというか、「自分を特別扱いして欲しい」ってことですよ。
結局優越感ですね。  

まあ、やりすぎると色恋沙汰で揉めるバンドマンも少なからず出てきそうですがそこは上手くやってください。(鷹の目)

3.キャラを知ってもらう

バンドに限らず選手や芸能人を好きになる時って技術や成績だけじゃなくて「その人の人間性も含めて」好きになると思うんですよ。

明石家さんまがプライベートでもめっちゃ愛想良くて好きになった」とか「イチローの異常なまでにストイックなところに憧れる」とか「BUMPの藤くんの隠キャなとこが良い」とか誰でもあると思います。

個人的な話をするとtricotがまだ出始めの頃、Youtubeによく「tricot TV」みたいな動画が上がってたんですがそれがめっちゃくちゃ面白いわけです。音楽と全然関係ないショートコントみたいなのもありました。
僕はそれを見て「こいつらのライブ絶対おもろいやん」と思って見に行った記憶があります。
実際、どういう人か事前にわかっているとライブに行きやすいですし、「MCも楽しく見られる」というのはあります。 勿論、曲を気に入ってもらえないと始まりませんが。

何が言いたいかと言うと「曲ではなくバンドのことを好きになって欲しいなら音楽だけでなく人間性が伝わる何かを作って欲しい」ということです。そしてそのバンドのことについて詳しく知っているほどライブを更に楽しめる、ということです。

最後に

僕はバンドマンを煽りたいわけではなくて「バンドマンは何かと遠回りし過ぎだ」ということを言いたいんです。もっとラクができる世の中になったぞと。
僕も典型的なバンド活動を経験しましたが、バンドを辞めて社会人になってから「あの世界は異常だったな」と思います。

この内容がダサいと思ってる人もきっといると思います。そういう人は今まで通りにしてくれればいいです。 僕は今燻っているバンドや、これから出てくるバンドが1つでも多く報われてくれれば嬉しいです。

追記:
この考えに至った原因である「音楽の価値が下がった」ということについても、考えを書きましたので、まだ体力が残っている方は良ければ読んで下さい。

tadokoro.hateblo.jp